ベトナムの宗教はなに?実は日本と近いベトナムの民間信仰とは

ダナンの五行山洞窟内の仏像

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ベトナムの宗教とは何か知っているでしょうか?

ベトナムが社会主義の国であり、国としてのポリシーでは無神論の国とされていてはいるとはいえ、ベトナムにも当然、宗教、信仰は存在します

現在、公的に認められている宗教は仏教、カソリック、プロテスタント、これに少数のイスラム教ヒンドゥー教、これに新興宗教であるカオダイ教ホアハオ教と呼ばれる宗教が続きます。

ベトナムでは習慣的にお寺に行く人も多いことから、ベトナムの8割は仏教徒と言われることもあります。

しかし実際にベトナムで過ごしてみると、本当に大多数を占めているのは、こうした他の国でもメジャーな信仰ではなく、ベトナム独自の文化と結びついた民間信仰だと言うことが見えてきました。

そしてその伝統進行は、日本人の神道、仏教とが合わさったような日本の宗教観と似たものがある、ということが見えてきました。今回はベトナムの宗教と、多数派を占める伝統宗教についてお話します。

ベトナムの宗教分布とは

さてベトナムの宗教は仏教、カソリック、プロテスタント、イスラム教ヒンドゥー教カオダイ教、ホアハオ教の8つ。最大派を占めるのは仏教で、現在でも全体の8割に及ぶ人が、頻繁にパゴダと呼ばれる仏教寺院を訪れるとされているため、ベトナムの人口の8割が仏教という主張がなされることも多くあります。

しかし実際に各地で直接人々と触れてきた経験から言えば、8割が仏教徒という主張は「初詣に行くから日本人は仏教徒」と言っているようなもので、少し乱暴な意見に感じられます。

事実、ベトナム政府による2014年の調査では、仏教徒の数は全人口の12.2%という結果が出ています。アメリカのピュー研究所による試算でも、やはり仏教教徒の数は全人口の16%程度に止まっているのです。

ではベトナムの宗教における最大多数派はなにか。同研究所によればベトナム最大の人口を誇る宗教は、全人口の45.5%を占める伝統的な民間信仰であるとされているのです。

ベトナムの民間信仰とは

ではベトナムの民間信仰とはどういったものなのでしょう

ベトナムの民間信仰はキリスト教のように組織だった宗教として成立し、唯一神を信仰する類のものではありません。ベトナム語で精霊とか神などを意味するthầnと言われるもののほか、自分たちの先祖土地神地域に置ける英雄などに祈りや感謝を捧げる伝統的なものです。

ベトナムの家庭にある四つの祭壇

ベトナムの民間宗教に置ける祭壇

ベトナムの民間宗教で商売繁盛を祈念する祭壇

例えばベトナムにおいて自宅で店やホテルなどを経営している家庭を訪れると、玄関の近くに小さな50センチほどの高さの小さな祭壇が置かれているのが目に入ります。

ベトナムの民間信仰において福の神が祀られた祭壇。商売繁盛を願うもの。

祭壇に祀られているのは福の神。商売繁盛を祈念している。

例えばこの祭壇は商売繁盛を祈念して置かれているもの。日本でいう福の神のようなものが祀られていて、線香や時には煙草が捧げられていることがあります。

こうした祭壇は家庭事情によって数が異なっています。台所には家族繁栄を願った祭壇が、家の最上階には亡くなった先祖を祀った祭壇があります。またビジネスを行っている場合には玄関の内側に商売繁盛の祭壇が祭壇があるほか、その家庭に若くして亡くなった家族がいる場合には玄関の外、少し高い位置にその家族を祀った祭壇が置かれています。

この伝統信仰は仏教との親和性も高く、あまり仏教を信徒としてしっかり信仰しているという人でなくても仏教寺院を訪れることもありますし、逆に仏教徒の家庭にこうした先祖を祀っている祭壇があることも多いです。

伝統文化としての宗教感

このあたりは八百万の神を信仰する日本の神道とも通じる感覚であると言ってもいいでしょう。日本人である我々も、伝統や文化として神社や寺院を訪れる人は多いですが、だからと言って「神道を信じているの?」「仏教徒なの?」と聞かれれば返答に困るでしょう。

ベトナムでもそこは同じようで、先ほどあげたベトナム政府の調査では76.6%信仰する宗教なしと答えています。ピュー研究所の試算でも信仰する宗教なしと試算されたのは30%ですから、民間信仰との数を合わせると75.5%と政府調査に近い数字です。これは文化としては従っているし、ご先祖様にお祈りはするけれど、宗教として認識しているかについては曖昧だというところが数字に現れているのではないかと考えています。

これはいただきますを言うし、先祖のお墓を訪ねたりするけれど宗教としての意識は低いという日本の状況と似ていますね。

新興宗教カオダイ教

ベトナムに本部をおく新興宗教。カオダイ教はこのベトナム伝統宗教を中心としつつ、さらにほかの宗教も取り入れたものとです。

現在では信者数ではカソリックに注ぐベトナム第3位の宗教となってるカオダイ教は、巨大な目玉の元にキリストやブッダが並ぶという独特な宗教感を形成しています。

ベトナムの宗教感とは

これに対し宗教に対する関心や、関わり方が深く強いのが残り25%ほどの人たちということになります。

イベント時期にのみ宗教施設に訪れる一般の人々とは違い、彼らは宗教に経験に取り組んでいます。

ベトナム政府の調査によると

もっとも多いのが仏教で12.2%、二番目に多いのがカソリックの6.8%。カオダイが4.8%、プロテスタントとはオホア教がそれぞれ1.5%、1.4%で後に続き、わずかなヒンドゥー京都やイスラム教徒がいると言う結果担っています。

ベトナムの仏教

ベトナムに仏教が入ってきたルートには諸説あり、紀元前3世紀から2世紀頃にインドから入ってきたという説と、1、2世紀ごろにかけて中国から入ってきたという説とがあります。

ベトナム五行山にはベトナム仏教の仏像が多く見られる

ベトナム五行山の仏像

ベトナムの仏教で大多数を占めるのは日本と同じ大乗仏教で、タイやラオスなど東南アジア諸国でメジャーな上座部仏教とは違う歴史経過を辿っています。

ベトナムの仏教は近代史においては弾圧の対象になってきました。南北分断時にはキリスト教化を進め仏教の弾圧を進めた政府に抗議した僧侶による焼身自殺も起きたほどでしたし、社会主義国家になってからも国家的なイデオロギーから宗教の弾圧の影響を受けてきました。

しかし民族的な伝統とも強く結びついている仏教が根絶されることはなく、今でもベトナム国内には1000万人を超える仏教徒がいるとされています。

ダナンの北部にある巨大レディブッダに祈りを捧げる女性

ダナンのレディーブッダに祈りを捧げるベトナム人女性

さきほど言ったように仏教と伝統信仰は伝統的に密接に関わってることから、その堺が曖昧な部分もあり、仏教徒の家庭にも伝統信仰の祭壇が置かれていることも少なくありません。

しかし仏教徒であると公言する人は、そうでない人に比べてやはり仏教的な戒律をしっかり守ることは多いようです。

ベトナムの菜食主義

例えば食事に関しても肉を食べないという仏教的な戒律にしたがった生活をしている人も多くいます。

ベトナムの仏教では旧暦の1日、14日、15日、30日(月の最終日)は肉を食べない日として定められています。そのため仏教人口の多いベトナム中部では、こうした日には菜食主義のレストランは非常に混雑します。

フエにある菜食主義レストラン。普段使われていない部分まで解放され、そちらもいっぱいになっていた。

旧暦14日の菜食レストラン。普段は使われていない部分まで解放して営業している

ベトナムのキリスト教

ハノイの中心部には大聖堂もある

ハノイにある大聖堂聖ジョセフ大聖堂

首都であるハノイに大聖堂があることからもわかることですが、ベトナムではキリスト教も盛ん。

宗派ではカソリックが6.8%と最も多く、プロテスタントがそれに続く1.5%となっています。

ベトナム式の建物に見える十字架

ベトナム式の協会とキリスト像

フランスの占領下にあったことから、キリスト教もフランスから伝わったものと思いがちですが、ベトナムにキリスト教がもたらされたのは16世紀のこと。ポルトガルの宣教師の手によるものとされています。

その後カソリックの司祭が、フエ王朝の初代皇帝初代皇帝ザーロンのアドバイザーなどになったこと、ベトナムがキリスト教徒であるフランスの植民地支配を受けたことなどを受け、キリスト教は勢力を伸ばしました。

海辺の教会跡。キリスト教会は各地にあるが、特別多い地域と少ない地域とに分かれている

南北分断時。南ベトナム大統領がキリスト教徒だったため、仏教の弾圧が行われました。その結果起こったのが有名なティック・クアン・ドック僧の焼身自殺だったりします。

ベトナムの新興宗教

ベトナムにはカオダイ教、ホアハオ教の二つの新興宗教が信者数を増やしています。どちらもベトナム南部メコンデルタ地帯を中心に発生しました。

特に巨大な「目」を信仰するカオダイ教の信者はベトナム本国だけでなく、アメリカなどに住む現住ベトナム人コミュニティの間でも広まっていて、信者数はベトナムの全人口の5%ほどにも及ぶと言われています。

ベトナムの少数派宗教

17世紀以前、現在のベトナム南部はベトナムではなく、チャンパと呼ばれるクメール系の国であったと言われています。

チャンパ、ミーソン遺跡のヒンドゥー像

チャンパの遺跡。ミーソンに残る石像

ベトナムのヒンドゥー教

彼らの信仰していたのはヒンドゥー教であり、今もその子孫である一部の少数民族の間ではヒンドゥー教が信仰されていると言われています。

チャンパのミーソン遺跡にはヒンドゥー像が残る

ベトナムのイスラム教

また移民などを中心にイスラム教人口もあり、ハノイなどではモスクなどもあります。しかしヒンドゥー教にしろイスラム教にしろ、その人口は全人口の0.1%以下であり、宗教的には極めて少数派となっています。

まとめ

ベトナムの人の宗教との関わり方は日本人とも少し近いものがあると感じます。

彼らは節目には仏教寺院を訪れ、家庭では家族や先祖を信仰する一方で、クリスマスにはイベントとしてクリスマスを楽しむ人もいます。

ベトナムを訪れ、現地の人々と触れ合った時、日本人と近いなと感じる人も多いと言います。

これはこうした宗教を宗教としてだけとらえず、伝統や文化として考える人も多くいる、そんな感覚を共に持っている人が多いというのが影響しているのかも知れません。

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