タイ、プミポン国王死去は旅人にどんな影響を与えるのか

多く日本人も訪れるチェンマイの町から、北へ150キロ。山間にある観光の町パイ。 

10月13日のその日、普段は欧米からの旅行者を中心に観光客で賑わうこの町から、突然音楽が消えた。

ラーマ9世。70年の長きにわたり国王であったプミポン国王の死去が伝えられたためだった。88歳だった。

長くその地位についていただけではなく、国民に愛され続けたプミポン国王。その死に多くのタイ国民が涙にくれた。

不謹慎な話かもしれないが、旅をするものとして気になるのは、今回の国王の死去が旅人やタイの旅行業界にどの程度の影響を与えるのかということ

タイへの旅行を検討されておられる方にとっても、観光への影響については心配されるとこかと思う。

今回は実際に現地で見てきた状況から、これから2017年10月までの服喪期間に気をつけるべき行動についてまとめてみたいと思う。

2017年10月補足
プミポン国王の命日が近づいていることもあり、少し敏感になっているところもある。13日までなるべく国民の気持ちに配慮した服装などを心がけたい。

国民に愛され続けたプミポン国王

1946年に18歳で即位。世界でも稀な70年という長きにわたり国王を務めたプミポン王は、世界でも最長の在位期間を誇るだけでなく、その在位期間を国民に愛された国王でもあった。

国王がなくなる直前に現地入りをした人間としても、それは感じたことだった。タクシーに乗れば運転手は宮殿の前で国王の健康を祈って手を合わせるし、体調不良の話を聞いた20歳のタイ人の友人は、国王の回復を祈る画像を連日フェイスブックやインスタにあげていたほど。父親を慕うように慕われていた、という表現は実態を表していると言ってもいいだろう。

国王が亡くなっての国民の反応

国王がなくなった 今となってはそれが顕著で、国王の崩御から半年が経とうという今でも、LineやSNSのプロフィール画像をもに服することを示す黒にしている国民は少なくない。

国民に課せられた服喪期間は国王が亡くなられてから1年。2017年の10月までとされている。

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(パイのナイトマーケット。国王が亡くなった翌日には、喪に服すことを示すための黒いシャツなどが特価販売されていた) 

観光業への影響は?

では国民が喪に服すことによる観光への影響はあるのだろうか

 

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バンコクのHua Lumpong駅前。国王の祭壇へ続く道は黒を着た人たちで埋め尽くされている)

結論から言えばほとんどない

タイにいて感じることであるが、タイは観光業、そして夜の産業で栄えている国だ。国民が喪に服すことによる影響は大きいと思われていた。

しかし実際には国王の崩御翌日にも、普段通りとは言わないまでもナイトマーケットや観光ツアーは運行していたし、夜の街も音は抑えていたものの、営業しているところはあったようだ。

国民に課せられる服喪期間は30日。公務員などは1年間だ。

現在は一般国民が法律上の喪に服さなければいけない期間は終わっており、今(2017年4月現在)も一部の国民は自主的に喪に服してはいるものの、実際のところ 旅行者が国王の死によって影響を受けることは大きくないだろう。一つずつお話ししていく。

服装は?黒しか着れない?

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(黒い服が特価販売されていたパイのナイトマーケット)

まずは服装。

旅行者であり、外国人である我々が、特に服装に制限を受けることはない。

プミポン国王がなくられて1ヶ月間の服喪期間には地元タイ人は黒を着ることを課せられていたが、この期間であっても法律上の服装制限は外国人には適応されていかった。

プミポン国王の崩御から半年たった今となっては、外国人が服装の制限を受けることはない。

しかし国王が亡くなられて2ヶ月ほどがたった頃、黒い服をきていたことで露天商のおじいさんにお礼を言われた、という話を聞いたことがあった。2017年4月頃にもなると、喪に服す服装をしている国民は減っているとはいえ、自主的に黒い服をきているような人も今だにいるのが事実だ。お祝いを連想させるようなド派手な服を、これ見よがしに着るなどは相手の心を傷つけることになるので望ましくはないだろう。

ただ基本的には節度を持った服装と行動をしていれば、なんの問題もないだろう。

酒が飲めなくなるのでは?

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酒類の販売は国王がなくなった13日から17日にかけての三日間セブンイレブンなどの小売店から姿を消した。しかしそれ以降はアルコール類の販売は通常通り行われており、影響は全く受けてはいない。

バーやレストランなどでのアルコールの販売は通常通り行われており、タイ人でも飲酒をしている人を見かけることもある。

音楽は禁止?

パイの街は白人の旅人や長期在住者が集う街で普段は音楽で溢れる街だ。

国王の崩御から数日。そんなパイの街から音楽が消えていた。

たくさんのクラブで溢れるカオサンも流されている音楽のボリュームも、国王がなくなってしばらくは音楽のボリュームを下げていたという。男性を対象とする歓楽街でも音量は下げての運営をしているようだった。

しかし現在は規制は緩まっており、基本的には平常通りと言ってもいいような音量には戻ってきている。あまり影響はないだろう。

ただし悲しみに暮れているせいか、摘発を恐れてかクラブなどに来る地元タイ人は若干減っているとの話はある。とはいえライブミュージックや店内音楽が小さくなっていることを除けば、さほど影響はなさそうだ。

パーティーやコンサートなどの中止は服喪期間中のみ。現在は通常通り

少なくとも30日間の間、パーティーやコンサートなどは中止になっていたが、2017年4月現在はほぼ影響がない。

懸念されていたチェンマイなどのランタンフェスティバルも通常通り行われていたし、3月のバンコクでのミュージックフェスも平常通りだった。

観光地は通常通り営業

20代の女性でさえ、王様がなくなったことで眠れないと漏らすほどタイは悲しみに包まれてはいた。しかし現実的なタイ人のこと。服喪期間中であっても観光地や観光地でのツアーは今のところ通常通り行われていたほどであり。今となっては国内観光になんの影響もない。

各地で行なわれているナイトマーケットや屋台街なども通常通り。ただし明け方までやっていることの多い屋台が、12時前に切り上げてしまうことも多かった。

彼らとしてもそれをしなかったら生活できないわけで、こうしたタイにおける普通の生活には問題ない。

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ただしバンコクの街には今もあちこちにプミポン国王を悼むための祭壇が設けられている。

30日の期間が過ぎれば撤去されるものも幾つかあった。しかし2017年4月になっても残っているものがあるわけで、昔のままの見た目に戻っているとは言えない。f:id:Yuta-kon61:20161109175055j:plain

(宮殿周辺の国王の壁画と写真を撮る人々、黒い服を着た人が多い)

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(国王の死から20日以上経った11月8日の昼間の光景、宮殿の周囲には国王の死を悼む人であふれ返している)

無料の炊き出しやサービスも?

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プミポン国王が亡くなられて1ヶ月ほどは、バンコクの一部の地域で、無料の炊き出しや無料配布が行われていた。

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国民向けのサービスかと思いきや、外国人にも普通に配ってくれていた。

中にはマッサージなどを無料でしてくれるところなどもあり、つらい時期を共に乗り越えようというタイの人々の繋がりを感じることができた。

安全上の問題が出てくる可能性も?

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(ナイトマーケットに出現した軍人たち)

安全上の心配をする人もいる。

これまで クーデターが起きたり、勢力争いが起こっても平和を維持できたのはプミポン国王の存在が大きかったと言われていたからだ。

実際警戒レベルが下がる10月31日までに、現在の政治に不満を持つグループが行動を起こすのでは?という噂も現地では流れていたが、結局これは起こることはなかった。

ただ4月6日はカオサン通りの近くで小規模な爆発事件は起こったとの話もある。

駅などでは荷物のチェックなどは続いているが、一時期のような厳戒態勢モードではなく、緩くカバンをチェックして終わり。タイ人らしい。形だけのチェックに終始している。

新国王はどんな人なのか

プミポン国王のから1ヶ月経って、後継者であるワチラロンコン皇子が即位した。

ワチランコン新国王はオーストラリアのキャンベラの軍学校を卒業後、タイ軍はもちろん、オーストラリア軍、英軍、アメリカ軍で訓練を受けたらしい。

戦闘機、民間機ともに操縦可能なパイロットで、皇太子時代の外遊では自分でボーイング737を操縦していたとも伝えられている。

一方で皇太子時代は公務に消極的であるとの批判を受けたり、私生活が分別がないとして批判を受けることが多かった。しかし懸念されたような大きな問題は今のところ噴出していないかのように見える。

↓新国王ワチラロンコン王がどんな人なのかについてはこちらにまとめています。

タイの新国王、ワチラロンコン国王とはどんな人なのか?

2016.12.08

70年で初めての事

いずれにせよ、今回の件はタイにとっても70年間で初めての事であり、どんな事になるかが不透明な状況にあった。しかし今の所大きな混乱は起きることはなかった。タイには日本企業も多く進出し、日本人の旅人も多い国だ。

しかし今回の件からはタイ人の繋がりの強さ、優しさと共にそれをリアル冷静に受け止めて乗り越えようとするしたたかさも見えてきた。

現在、旅をする人、旅行で訪れる人にはプミポン国王が亡くなられた影響はほぼ皆無だ。

悲しみにくれるタイの人々は、それを逆に商売にして乗り越える強さも持っている。

観光に依存している彼らが前に進むためにも。自粛などは必要ない。相手に思いやりは持ちつつも思いっきり楽しむことが今のタイを応援することになるのかもしれない。

  • 12月8日新国王についての追記しました
  • 11月9日記事を更新しました
  • 2017年4月22日記事を更新しました

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