タイ

タイの新国王、ワチラロンコン国王とはどんな人なのか?

軍用犬ならぬ軍を匹いるプードル

2016年12月1日。先代プミポン国王の崩御から一ヶ月半の空位を経て、新タイ国王となったワチラロンコン王(ラーマ10世)。

新国王と確執があるとも噂されていたプレーム氏も継続して枢密院議長に就任するなど政治的な混乱は特にない。

破天荒な振る舞いで話題になることも多かったワチラロンコン新国王は、2017年4月には米国「Time」紙の「世界にもっとも影響を与ええる100人」にも選出されている。

ではこのワチラロンコン王。いったいどんな人物なのか。見ていきたいと思う。

ワチラロンコン王とは

ワチラロンコン王は1952年7月28日にプミポン前国王の長男として誕生。現在64歳。

ワチラロンコンの意味はタイ語で「宝石、落雷にて彩られしもの」と言う意味。結構おしゃれな意味なんですね。

長い海外生活と軍人としてのキャリア

13歳まではバンコクの学校で過ごし、その後は英国の私学校へ。

その後はオーストラリアへ渡り、シドニーの高校卒業後は、キャンベラにある王立軍学校で学んでいます。

その後も軍人としてのキャリアを積んでおり、タイ軍だけに限らず、アメリカ、英国、オーストラリア軍で訓練を受けているそうです。パイロットの資格を有していて民間機だけでなく、戦闘機にも乗れる技能を持っているのだとか。

海外に行く時は自分でボーイング737を操縦するというから驚きです。

なぜ新国王は評判が悪いのか

これだけ見ると、軍人としてキャリアつみ、国をリーダーとして率いるための経歴を十分に思えます。

しかし王子時代のワチラロンコン王は、どうも評判が思わしくありませんでした。

これは海外生活が長すぎたために、国民と触れ合う時間がなかったということもさることながら、若い頃から現在にいたるまでの派手な私生活が原因のようです。

公務を置いてプレイボーイ生活

皇子は若い頃からあまり公務に対して積極的な姿勢を見せず、週末になれば若い女性を連れ出して遊ぶという生活を続けていたため、母親であるシリキット王妃からも「あの子はちょっとドンファンよね」と言われるほどだったとか。

[aside]ドンファンとは

スペインの伝説上のプレイボーイ。遊び人の代名詞として使われる [/aside]

これだけであれば若い頃の過ちだよね。

ということで許されるのでしょうが、実はまだまだこんなものではありません。

3度の離婚

新国王はこれまで3度離婚していますが、特に最後の妻であるシーラット妃の場合はなんと、王子に人前で裸になることを強制されている動画が流出しています。

2014年に妃との離婚が決まり、シーラット妃の王族としての資格が剥奪されるや否や、シーラット妃の両親を含む、親族、関係者らが次々と王子に対する不敬罪で逮捕。中には逮捕の過程で窓から転落して亡くなっていると言います。

力の乱用?王子の寄行の数々

ワチラロンコン王による王子時代の寄行とも言える行動はこれに留まりません。

ペットの犬は空軍大将、愛人は親衛隊長

ワチラロンコン王は王子時代、変わった相手に階級やステータスを与えた経歴があります。

タイ航空の元客室乗務員でワチラロンコン王の現在の恋人である言われるスシーダという女性は、タイ航空を退職後親衛隊中将となっています。またなんとワチラロンコン王のペット、プードルのフーフーには空軍大将位が与えられているのです。

イギリスからタイの料理店に注文

またイギリスに滞在中、王子は1万キロ以上離れたタイ料理のお店に、イギリスまで料理を届けるよう注文したのだと言います。まるでドラマかアニメに出てくるボンボンキャラクターみたいな行動ですね。

不敬罪があるにもかかわらず批判の対象に

こうした行動から王子時代のワチラロンコン王は、度々ネット上などで批判にさらされてきました。

タイには王家を侮辱すれば犯罪となる不敬罪という罪があるため、公共の場で堂々と王家の悪口をいう人を見かけることはまずありません。しかし手が回りきらないネットに関しては別で、王子の行動は広く知られることになり、その内容から批判の対象となったのです。

[aside]不敬罪とは
国王、王妃、王位継承者あるいは摂政に対して中傷、侮辱などを行った際に適応される刑罰。3~15年の実刑が下される [/aside]

しかしワチラロンコン王が王位についてすぐ、Facebook上に王にとって不利益な写真をシェアした罪で、大学生が不敬罪で逮捕されています。

タイム誌の世界で「最も影響のある100人」に選出

そんなワチラロンコン王ですが、2017年4月に発表された「世界で最も影響のある100人」に選出されています。

選出理由では上にあげたワチラロンコン王の「エキセントリック」な行動をあげた上で、「三度の離婚を重ねたワチラロンコン王の不安の種になっている」と一蹴。

ワチラロンコン王が引き継ぐ王家の資産は、世界の王家の中でも最大規模の300億ドル(3兆円)規模とも試算される中で、ワチラロンコン王が 「受け継いだ権力で何をなすのか」に注目が集まるとしています。

ワチラロンコン王は親ドイツ?

さてそんなお騒がせなワチラロンコン王ですが、何かとドイツに縁があります。

ワチラロンコン王が王になることが濃厚になった時、盛んに報道された女性用タンクトップを着たワチラロンコン王の姿はミュンヘン空港で撮影されたもの。また同じような格好をしてミュンヘンのショッピングモールをうろつく姿もパパラッチされています。

また2017年の6月10日にはミュンヘン近郊を自転車で走行中13歳と14歳の少年二人に狙撃されるという事件が起きています。少年たちの行動はBBガンによるいたずらで、王にも周囲にも怪我はなかったことから、王はそのまま自転車で移動を続けたのだとか。しかし一時は外交問題化するのではとの懸念が持ち上がり、ドイツ国内では少年法の対象とならない二人のうちの一人、14歳の少年が取り調べを受ける事態となりました。

ワチラロンコン王はドイツに別荘あり

しかし何か起こる時はいつもミュンヘンだな。なんで?と調べてみると、実はこのワチラロンコン王、ミュンヘン郊外にある湖、シュタルンベルク湖の湖畔に別荘を持っているんですね。

ワチラロンコン王はシュタルンベルク湖に別荘を持つワチラロンコン王の別荘があるシュタルンベルク湖はミュンヘンの南部にある

世界最大規模の資産を持っているというワチラロンコン王だけに、なんと別荘の価格は一千万ユーロ、日本円で言えば12億円を超えるのだそう。

自転車に乗るのは国王の趣味のようで、バーバリア州など各地で自転車に乗る姿が目撃されているようです。

王になれば権力の乱用は収まるのか

王子時代に権力の乱用とも言っておかしくない行動を繰り返してきたワチラロンコン王だけに、国王になって本当の力を得た後は、国民のためその行動を控えることができるのか。その点に注目が集まっているようですね。

王となって何をなすのか

それでもワチラロンコン王はまごうことなく正当な王位継承者です。姉のウポンラット妃は、アメリカ人男性と結婚したために、王位継承権がありませんし、国民からの人気が高いシリントーン王女はワチラロンコン王の妹です。

男子優先の王家にあって、ワチラロンオン王はプミポン前国王の長男。彼以上に王の資格を満たしている人は他にいないのは間違いないのです。

即位式ではワチラロンコン王の資質より、プミポン王の元で王子であった44年間の経験を重視した紹介がなされました。

ワチラロンコン王が優れた人物であったとしても、プミポン王のように70年にもわたり尊敬される王であり続けたプミポン王を超える尊敬を受けるのは、並大抵のことではないでしょう。

世界最大規模の王家の財産を受け継ぎ、権力も得たワチラロンコン王が王子時代のような傍若無人な振る舞いをとるのか、はたまた父王に慣い国民に自由を与えるアジアのリーダーと慣れるのか。その行動に世界中が注目しているのは間違いなさそうです。

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