空に輝く幻想的な光、ファンタジーも顔負けのその光景。
写真をやっている人の中には、そんなオーロラを
「一度は撮って見たい!!」
なんて思ってる人、少なくないんじゃないでしょうか。
せっかくオーロラを撮りに行くんだから失敗したくはありませんよね。オーロラを見ようと思ったら、どうしてもカナダとか北欧とかにいかなきゃいけませんから、お金も時間もかかるんです。せっかくならバッチリカメラに収めたいと思います。
幸いなことに僕はカナダの北部冬を過ごした期間中、オーロラには何度も遭遇する機会に恵まれました。
その時は何度も何度もオーロラを撮ろうとしましたが、随分失敗も繰り返してしまったんですよね。
その時実感したのが、オーロラをキレイに取ろうと思ったら、しっかりとした準備が必要だってこと。特にレンズ選びは、かなり大事です。
ではオーロラ撮影を失敗しないためには、一体どんなレンズを選べばいいんでしょう。今回は一冬滞在してオーロラを撮っていた時の経験をまとめます。
Contents
オーロラ撮影にはどんなレンズが必要か?
オーロラをなんども撮影してきて、オーロラ撮影に向いているなーと思ったレンズは
- 明るく
そして
- 広角なレンズ
です。なぜこういうレンズがいいのか理由をお話していきましょう。
オーロラを撮るのに明るいレンズが必要なわけ
オーロラの写真を撮るのに一番大事だと実感したのは、明るいレンズを選ぶことです。
当然のことなんですが、オーロラっていうのは夜に出る現象です。まず最初に理解しておく必要があるのは、暗いところで明るく撮影するには、
- ISOの数値
- シャッタースピードの数値
- 絞りの数値
という三つの数値を調整して、撮影する必要があるってことです。適正露出というやつですね。
ただオーロラの撮影の場合、このうちISOとシャッタースピードに関しては調整するにも限界があると気づいたんです。

参考までに置いておくと、これは初めて撮ったオーロラの写真です。この時は使っていたのは、ニコンのAF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VRというレンズ。このレンズは暗いレンズのため、オーロラを撮るためにはISOを高く、シャッタースピードが遅くして撮るしかありませんでした。
オーロラ撮影の時にISOをあげる問題点
暗い中で撮影するための1つの方法はISOという数値をあげることです。しかしISOの数値はあげすぎるとノイズというものが出て、撮った映像がざらついたり汚い映像になってしまうというのが弱点です、
このノイズ、普段はさほど気にならないということも少なくありません。しかし暗い中で色が売りのオーロラを撮る時にはISOをあげると、とたんに色がおかしくなってしまうんですよね。
自分がオーロラ撮影に使用したニコンのD800Eというカメラの場合、普段はISOを3200程度まであげても許容範囲、場合によっては6400まであげても実用範囲だと思っています。しかしオーロラ撮影をする時に限ってはIISO800あたりからは、どうにも使いたくないな、というような色合いになってしまったんです。
もちろん、このあたりの性能は年々よくなっていますし、画像編集ソフトも優秀です。ただそれでもオーロラ撮影をする時には、普段納得できるレベルからは随分下げたISOで取らざるを得ない、というのが実感としてあったんです。
オーロラ撮影でシャッタースピードを遅くする問題点
ISOの数値をあげることができない場合、次に調節すべきなのがシャッタースピードの数値です。
シャッタースピードの数値を低くする、シャッターを切るスピードを遅くすることで、よりたくさんの光を取り込んで明るく撮るのです。でもここに問題があります。
そうシャッタースピードを遅くすると起こるのは撮っているものが動いてしまうことで起こる、ブレが起こること。
そして、実はオーロラも常に動いています。これは別にあっちに行ったりこっちに行ったりするわけじゃないんですが、風なんかに流されて常に色や形が変化してしまうんです。
もちろん多少シャッタースピードを遅くすることで、オーロラの線も太くなって綺麗に見えるってこともありえます。ただそれでもシャッタースピードが遅すぎると、全体的にのっぺりした画像になってしまうんですね。
明るいレンズを使って絞りを開ける
ISOをあげたくない、シャッタースピードもそれほど落としたくないとなれば、残る手段はただ一つ。明るいレンズを使ってF値という数値を下げるするという方法しかありません。
短い時間で光をたくさん取り込めるレンズを選ぶわけです。レンズの明るさとしては、もちろん明るければ明るいほど対応できる状況が増えるのでいいんですが、F値が低い明るいレンズは高くなるのも欠点です。
ただ実際に使ってみるとどうしてもF4という数値のレンズは使いにくい。最低でもF2.8より小さい数値のレンズを選んだほうがよかったんですね。

なぜオーロラを撮るのに広角のレンズがいいのか
では明るいレンズなら、どれでもいいのか?というとそうではありません。
オーロラを撮影しようと思うなら、なるべく広角のレンズを使うべきで、というのもまずオーロラというのは、大まかな方向は予測できても正確な出現位置は予測しにくい現象です。
その上、オーロラは東の空から西の空という具合に空全体に大きく広がって出てきます。
そのオーロラを一部だけ切り取るように撮っても、いまいち何かよくわからない写真になることも多いので標準レンズなど、望遠のきいたレンズはいくら明るくても使いにくかったんです。
それにオーロラは以外と出ている時間が短いこともあります。一晩待っていたのに、結局ちゃんと見えたのは40秒ほどだったということもありました。
少ない時間とチャンスでオーロラを確実に捉えようと思ったら、ある視界のひらけた場所で広角レンズを使った撮り方をするのが一番確実です。
なのでどうしてもオーロラと一緒に撮りたい被写体があって、それをオーロラと撮るチャンスにかけたい!というような人を除いて、オーロラを撮るレンズとしては広角レンズがおすすめなのです。
オーロラを撮影する時のおすすめレンズ
さて、どのようなレンズがオーロラ撮影に持って行けばいいか、ということはわかりました。では実際にどのレンズを持って行けばいいのでしょう。
ここでは実際に僕が現地で撮影に使ったレンズのほか、オーロラ撮影仲間などからもらった情報を元にいくつかおすすめのレンズをあげてます。
ズームレンズ
Nikon AF-S NIKKOR 14-24mm F2.8G
ニコンの広角ズームと言えばこれ!!って言われるくらいすごいと評判の、いわゆる大三元レンズ。もう写りもすごいが、値段も重さもすごい。
普段は広い範囲が写りすぎて少しズームにするということも多いこのレンズですが、オーロラ撮影みたいな広い範囲を撮りたい場合には、この広角が生きる。ズームレンズながら、F2,8という明るさもオーロラ撮影なら存分に活かすことができるはず。
問題は20万を超えるというそのお値段かな。ブルジョアしか買えない。でも、買えるって人ならとりあえずこれを抑えておけば良いかも。
Tamron SP 15-30mm F2.8 Di VC
15mmという超広角から撮影できて、F2.8とオーロラをとる条件を完全に満たしているレンズ。
上のニコンの純正に比べれば広角側が1mm短いが、その分30mmまで撮影できる。写りは純正に匹敵する…どころかむしろこちらの方がいい、という人もいるほどの性能のレンズなのに、コスパ番長のタムロンらしく価格は半額以下になることも少なくない。ただ重さはNikon AF-S NIKKOR 14-24mm F2.8Gより100グラム重い1,1kgと超ド級。
僕がオーロラ撮影用にフルサイズのレンズ買い増すなら、正直こっち。
OLYMPUS M.Zuiko DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO
ただマイクロフォーサーズは光を取り込む為のセンサーサイズが小さいです。これは昼間の撮影だとあまり感じることは少ないんですが、やっぱりオーロラのような暗いところメインの撮影には弱いな、と感じることも事実かも。
単焦点レンズ
Nikon AF-S Nikkor 20mm F1.8
ニコンの広角単焦点と言えば、この20mmF1.8かな、と。24mmのものもあるけれど、少し広角が広いこちらの方がおすすめ。
弱点もあるレンズなのだけど、やはり1.8という明るいレンズなのはありがたい。
SIGMA 15mm F2.8 EX DG
レンズメーカーとして低価格だが優秀なレンズを出しているシグマのフィッシュアイ(魚眼レンズ)。
魚眼レンズは写り方が独特なので、使い所が難しいレンズなんですが、広い範囲が写せること、歪みが強調した写りが面白いこともあって、オーロラ撮影の時に一番使ったのはこのレンズ。

Nokton 10.5mm F0.95
マイクロフォーサーズで撮るなら、これかな。10.5なのでフルサイズで言えば21mmくらいに相当する広角のレンズ。完全にマニュアルレンズというところが気になる人もいるかもしれないけれど、そもそもオーロラ撮影にオートフォーカスは使えないので関係ない。とは言ってもこのレンズの特徴はF0.95っていう異様なほどの明るさにありそう。
エスペラント語のノクト(夜)から取られたというレンズの夜での写りはダテじゃない感じ。やっぱすごい。
まとめ
オーロラを綺麗に撮ろうと思ったら、レンズの選択は重要です。
特に今回紹介したような明るいレンズや、広角のレンズを準備していなかったら、せっかくオーロラが出たのに取り逃がすということもあり得ます。
僕も滞在中レンズを取り寄せている間に、黄色やピンクのオーロラが出て悔しい想いをした経験があります。オーロラを撮りに行くのなら、失敗しないようにしっかり準備して行きたいものです。
またオーロラを撮影する場合は、三脚やバッテリーの選択も重要。こちらに関しては別でまとめる予定です。