ベトナムの田舎を旅していると、必ず問題になるのが宿の問題。
大都市であるハノイや、観光地であるサパやハロンベイなど、有名な場所であれば観光客向けの施設や人材は揃っています。通常のホテルはもちろん、ホステルなどの選択肢も多いですからネットで宿泊先を探すのも簡単です。
しかし一歩地方都市に出てみると、人口十数万の都市でさえネットでは一つの宿も見つからないということもあったりします。ネットの普及率は極めて高く、娯楽の王様として多くのベトナムの人に普及しているベトナムでありますが、これをビジネス目的で支えているのはあくまで一部の人だけ。自分もベトナムの田舎町を訪れた時、宿探しではかまり苦労しました。
ベトナムの田舎で色々宿を探しているうちに、ベトナムの田舎では立っている宿泊施設の構成が都会とは異なっていることに気がつきました、観光地を覗くベトナムの田舎町には、二つのタイプの宿泊施設があります。1つは一般的なホテル、そしてもう一つがニャギ(Nha Nghi)と呼ばれる宿泊施設です。日本では聞いたことのある人もほとんどいないであろうニャギ。一体どんなものなのでしょうか。
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ニャギとは何?
Nha Nghiとは何か。先に答えをまとめてしまうと、Nha Nghiとはベトナム中にある安宿のことです。
Nhaは家、もしくは場所。Nghiとは休むを意味する言葉なので、直訳すれば「休む場所」という意味。ホテルという外来語が使われる前から、宿を意味する言葉として使われてきたので、日本語で言う旅館、民宿に近いです。
宿代はいわゆるホテルより安いですが、基本的には現地の人をターゲットにしているので英語が通じるスタッフがいることはまずありません。ただ価格的に安いのに食事がついてきたり、親日の宿の人が奢ってくれたりすることもあったりして、地方を巡りたいバックパッカーなどには強い味方。
ただこの旅館に見せかけた(併設している?)怪しい店があったりもすることも事実なので、普通の宿泊で使うなら気をつける必要があります。
- 値段が安い
- 個室
- フリーWifi
- 冷暖房完備
- 朝食付きのところも
- セキュリティが不安
- 怪しい店の偽装のケースも
ニャギとの出会い
自分がニャギと出会ったのは、ハノイから北東へ120キロ走ったところにあるTuyen Quang省でのことでした。
寝る場所を探そうとしたものの、ネットでは宿が見つからず、今日泊まれる宿を求めて走っている時に偶然こんな看板を見かけたのです。

10万ドンの横に、Dem(一晩)と書いてあります。もしこれが一泊10万ドンということならば、これは日本円で500円ほど、ということになります。この値段ならバックパッカー並みですから、これは安い!

実際に宿に入り、部屋を見せてもらうと、宿の部屋は清潔で冷房付き、さらにそこそこ快適な速度のWifiがついている部屋でした。東南アジア宿泊した中でのトップの宿というわけにはいきませんが、このサイズの部屋で一晩500円ならコストパフォーマンスの点で言えば相当に優れています。
疲れている中、予想外に快適な宿を見つけられハッピーな気分になりましたが、一方で気になることもありました。そもそも聞きなれない言葉であるニャギ。一体これってってなんなんよ?
ネットに漂うニャギへの誤解
ニャギってなんなのか調べようと、ググってみると、目に入るのは「性欲」とか「お姉さん」とか、そういう言葉。それぞれの記事を見てみても、ニャギはやれラブホだ。やれ連れ込み宿だとか書いてあって、どうにも怪しい雰囲気。
疑問に思ってどんどん調べてみるとベトナムには変態的行為を目的に多くの外国人(日本人含む)が訪れるドーソンという町があり、そこにあるニャギがいわゆる売春宿的な要素を持っているせいで、こういう認識になっているみたいなんです。
しかし今回僕が泊まった宿は、自分の感じる限り普通のお宿。女の子もいなければ宿主から妙な申し入れもありません。だいたいニャギって田舎町にはいたるところにあるんです。
もちろん田舎道にポツンと立つみたいな怪しい雰囲気のところもあるにはあるんですが、商店街の中にも普通にあったりするわけで、これを売春宿と一緒くたに言ってしまうのはどうも間違っている気がしてしまいます。
ニャギに関する地元民の意見
…こういうことはわからなければ地元民に聞くのが一番。早速友人のベト子ちゃんに話を聞いてみることにしました。
さてセクハラしながら集めた情報をまとめると、ニャギというのは基本的には旅行者、移動者を対象とした安宿というのが正しい認識のよう。
朝ごはんがついてきたりするところもあるらしいので、感覚的にはひと昔前の日本の旅館みたいな感じなんだろう(ひと昔前の旅館をよく知らないので、あくまでイメージ)。
だから普通に街道沿いとか、町の中にあるニャギは安宿という認識で入っても基本的に大丈夫そう。
ニャギの設備はいいの?

ちなみに僕が泊まった10万ドンの部屋はこんな感じ。
広々とした部屋に広くて清潔なベット。Wifiも高速で

バスルームも清潔で、普通にホテルを名乗っているところよりも設備は上だった。
ただもちろん、これはたまたま新装オープンしたからという側面もあるので、お値段なりの宿もたくさんあるはず。
ホテルよりは安いが、設備はボロく、言葉は通じない。これが普通のニャギと言って良さそうです。
怪しいニャギってどんなの?
と言ってもベト子ちゃんの言っていたように、怪しい店だったり、日本で言うラブホ的に使われてる側面がないわけじゃありません。

例えばこのホテルのように、駐車している車、バイクのプライバシーは守られるように考慮されているところも少なくありません。
地元民の間ではそういう目的で使われていることは想像できます。
ベトナムでは複数家族が小さい家に集まって住んでいるということも多く、個人のプライバシーはほぼありません。若い世代が二人の時間を過ごすために使っていることもよくあるのです。
ニャギは怪しいお店なの?
とはいえニャギが怪しいお店なのかと言えばこれは違います。
もちろん怪しいところはあります。
ベトナムではこうしたお店は完全に違法です。日本のように法律的にグレーにしているわけでもないので、繁華街に堂々とこうしたお店の看板が並んでいるということもありません。
ではどうやっているかと言えば、ベトナムでは一般的なお店、例えば床屋やカフェに偽装しています。
ニャギに関しても、お店がカフェに偽装するように、売春宿もニャギに偽装しているだけっていうのが実態に近そうです。
ニャギは宿泊しても大丈夫?
ではニャギは宿泊しても大丈夫なのでしょうか。
もしあなたがバックパッカーで有名な町でない場所に行きたいタイプならば、町によっては選択肢はありません。いくつか訪ねて対応がいい場所に泊まるようにしてください。
ただ普通の旅行者だったり、ハノイやホーチミンのような他の選択肢がある大都市に宿泊するなら、ニャギを選ぶのはオススメしません。
怪しいお店でもわかりやすくしてあるところは良いのですが、普通を装っているところもかなりあり、見分けるのは至難の技です。自分もハノイで髪を切りに行った時、入り口のカーテンを閉められて店のおばさんに無理やりへんなことをされかけた嫌な思い出があります。
怪しいニャギに泊まってしまうと、人の出入りが激しくうるさいし、安全性や清潔さも疑問です。予約サイトなどを使って大都市に泊まる場合は予約サイトを使ったほうがいいでしょう。
ベトナムを含むアジア件での宿の予約なら価格的にはAgodaが一番オススメ。
ただベトナムではBooking.comしか登録していない宿も結構あるので、TripAdvisorで口コミをチェックして、自分にあった宿を選ぶのがいいでしょう。
まとめ
ニャギは旅館や民宿、モーテルなどにあたる宿泊施設で、ベトナム全土にたくさんあります。
安くて個室、場合によっては食事付きという待遇の良さなので、ベトナムの地方を旅したいというような、少し変わった人にはありがたい宿泊先になってくれるでしょう。
ただニャギの中には男女が関わる怪しい商売をしているところもあるため、セキュリティに不安があるところもあります。そうした場所はうまく隠しているため、外国人からは見分けがつかないがつかないでしょう。そのため大都市で宿泊するのは、よほどのことがない限りあまりオススメはできません。
一般の旅行者の人で都会に行く人であればAgodaやBooking.comなどであらかじめ宿泊するところを決めておくことをオススメします。