自分が長いアジアでの撮影旅の時には、ニコンじゃなくてマイクロフォーサーズのミラーレスを持って行ったという話をすると
というような反応を取られることが結構あります。
一眼レフと言えば、「いつかはフルサイズ!」こんな風に思っている人も多いと思います。でもじっくりマイクロフォーサーズのカメラを使い込んでみて、小さいカメラにはフルサイズでは得られない大きなメリットがあるってこともわかったんです。今回はそんなお話です。
マイクロフォーサーズを使って感じた3つのメリット
マイクロフォーサーズのカメラをフルサイズのカメラと比べて見ると次のようなメリットがあげられます。
- 軽くて、コンパクト
- 目立たない
では一体、なぜこれらが旅するカメラを選ぶ上でメリットであると言えるのでしょうか。
マイクロフォーサーズのメリット1:軽くてコンパクト
カメラ機材って本当にでかくて重いです。
いわゆるフルサイズのカメラなんかは、本体だけで800グラム、レンズなんてそれだけで1つ1キロとかです。一眼レフを持って行って、交換レンズなしってわけにも行かないですから1セットになれば平気で3キロ、4キロ行っちゃいます。
こんな重さの物を移動の多い旅で持ち歩いていたらもう大変です。汗は吹き出す、手はだるくなる。そのうちカメラを出すのが億劫になっちゃいます。

その点、マイクロフォーサーズはとにかくカメラとレンズを合わせたシステム全体が軽くてコンパクト。
僕がアジアで主に使っていたのは、パナソニックのGH7というカメラでしたが、なんとこのカメラだと本体は360グラム、レンズを複数持って行っても1キロを切る重量で済むので疲れない、これは大きなメリットだったんですね。
‖どうしてマイクロフォーサーズは軽く、コンパクトに収まるの?
勘違いのないように言っておくとマイクロフォーサーズが軽くて、コンパクトと言っても、多機能になってきているマイクロフォーサーズの本体は少しずつ重く、大型化してきています。同じミラーレスカメラだとソニーのフルサイズミラーレス一眼 α7RM3とオリンパスのミラーレス一眼OM-DE-M1 MarkII
とでは本体の重さ自体は100グラムくらいしか違いません。
ただ一番の違いはレンズです。カメラはセンサーに光を当てて写真を作るという構造になっています。そのためセンサーが大きいカメラにはどうしても大きいレンズが必要になってくるんです。これは物理的な理由なため、変えることは難しく、ソニーのフルサイズミラーレスも本体はマイクロフォーサーズ並みに軽いのに、レンズの大きさはキャノンやニコンなどの同じような性能のレンズと同じような大きさ、重さになってしまうんです。

だから本体とレンズを合わせるとキャノンやニコンとあまり重さは変わりません。僕が今のところソニーのフルサイズミラーレスにあまり惹かれないのはそれが理由。写真を見ているととてもいいカメラだとは思うのですけどね。
その点、センサーが小さいマイクロフォーサーズはレンズも小さく、軽く作れます。上であげたレンズと同じような12mm-35mmのレンズ(フルサイズの24-70に近い)でも重さは300グラムほど。大きさも半分くらいですむんですね。
マイクロフォーサーズのメリット2:目立ちにくい
マイクロフォーサーズを使う2つ目のメリット。それは目立ちにくいってことです。
カメラは高級品です。日本は安全な国なので、特にカメラを使ってて不安を感じることはないと思います。しかしアジアや南米など犯罪率の高い海外にいくとなるとどうしても盗まれたり、強盗にあったりと言ったことを心配しなくちゃいけません。小さく、目立ちにくいマイクロフォーサーズはCanonやニコン、ソニーのような目立つカメラよりは犯罪に巻き込まれにくい。これは一つの大きな利点ではあります。
ただ目立ちにくいことの一番の利点は、より自然な写真が撮れるってこと、です。
これは極端な例にしても、大きなカメラを使っていると警戒されるということは珍しくないことだと思います。
大きなカメラはプロっぽいですが、その分何をしているのか変に興味を持たれたり、カメラをむけると変に意識されて表情が硬くなってしまうってこともしやすいんです。商業的な撮影禁止なエリアなどなら、撮影許可証の提示などを求められてしまうこともあるかも知れません。
大きいカメラを向けられると人は構えます。表情が硬くなったり、自然に笑えなくなったり、って人は多いはずです。
一方。スマホやデジカメの普及のおかげでほとんどの人がカメラを持ち、写真に取るという時代になっていますから、人は写真を撮ってる人には慣れています。コンパクトで目立たないカメラなら警戒されず、よし自然な表情を捉えることができるんです。

マイクロフォーサーズのメリット3:多彩な表現ができる
僕の好きなある写真家は、一番いいカメラはどんなものか?と質問されて「常に一緒にいられるカメラ」だ、と答えたといいます。
今、僕たちのほとんどがスマホという形でカメラを携帯しています。実際HuawaiやIphoneなどカメラの性能の進化は凄まじく、実際にとった写真を見ると素直に「一眼いらないんじゃないの」とか思ってしまうこともあるくらい。
と聞かれたら、広角レンズや望遠レンズでなどを取り付けたり様々な表現ができることだと思っています。
もちろん。これは一眼レフなんかの他のカメラでもできますし、スマホでも外付けのレンズなども出ています。
しかしマイクロフォーサーズは1や2であげた特徴を持ちつつ、表現に豊富な選択肢があるんですね。
‖レンズの種類が多く、会社が違っても共有できる
マイクロフォーサーズが他の会社の一眼レフと大きく違うことに、他の会社のレンズを使うことができるってことがあります。
キャノンやニコンなどの一眼レフは、キャノンのレンズはキャノンだけ、ニコンのレンズはニコンだけというように使えるボデイが限られています。ソニーもアダプターをつけることでキャノンなどのメーカーのレンズも取り付けることはできるんですが、なんだかんだオートフォーカスのスピードなどが落ちることが多いのでいくつも普段使いするというのは現実的な選択肢ではないでしょう。
ところが、マイクロフォーサーズの場合、主なメーカーであるパナソニックとオリンパスが同じ形のレンズを採用しているので、どちらのボディを買って、どちらのレンズをつけたって構わないんです。そのおかげでマイクロフォーサーズのミラーレスに使えるレンズの選択肢は純正のものだけでも100超えています。それだけたくさんのレンズの選択肢があったんですね。

パナソニックのボディを使っているけど、オリンパスから新しく出たカメラが気になるから、オリンパウに乗り換えた、なんてことが可能。
‖オールドレンズが使える
ミラーレスカメラは構造に余裕があるので、アダプターをつけていろんなレンズをつけることができます。
その中でも自分が面白いなーと思うのがオールドレンズ。これはアダプターをつけることで、キャノンとかニコンなどのフィルム時代のレンズを使えるってものなんですが、これが今のくっきり映るのが一番みたいなレンズと違って、なんとも言えない味を出してくれるんですよね。

改めて撮った写真を見直して見ても、気に入ったと思える写真はこの構成で撮っていたりします。
‖強力な手ブレ補正でスローシャッターで撮れる
マイクロフォーサーズ含め、どんどん最新機種に組み込まれてきている機能と言えば手ブレ補正機能。
写真で撮ったものがちゃんと映らない「ブレ」には、写っている人が動いてしまうことで起こる被写体ブレと、撮っている人が動いてしまうことで起こる手ブレとがあります。どちらもシャッタースピードが遅い(スローシャッター)のために起こるん起こるんですが、このうちに手ブレを防いでくれるのが手ブレ補正機能なんですね。
ブレの原因になるスローシャッターなんですが、旅行写真だとあえて遅いシャッタースピードにすることで、下の写真のように止めたいものだけて動いている人はブレさせるみたいな撮り方もできたりします。

こういう写真を撮ろうと思ったら、写っている人(被写体)はブレでも手ブレは起こらないように三脚に乗せて撮ったりしないといけませんでした。
ただ観光地での三脚使用の禁止が広がってたりすることもあるし、人混みの中で三脚を出すのは難しいって状況のほうが多いはずです。
でもオリンパスのOMD-EM1 Mark2と12-100 F4のように強力な手ブレ補正が効く組み合わせなら、手ブレ補正を効かせてスローシャッターで手持ちで撮るみたいな撮り方も少しずつ可能になってきました。特に手ブレ補正はセンサーサイズが小さいほど聴きやすいので、その点メリットが多きいんですよね。
マイクロフォーサーズの弱点・デメリット
ただ、もちろんマイクロフォーサーズにも弱点はあります。実際に僕もマイクロフォーサーズ使っていて、ここが弱いなーと感じる点も結構あります。
マイクロフォーサーズはフルサイズより暗いところに弱い
マイクロフォサーズは端子の光を取り込む部分がフルサイズなどに比べて暗いところに弱いとよく言われます。
実際に使ってみるとこれはやっぱり間違いなく、数年前のフルサイズカメラと比べても暗いところには弱い印象がありました。特にISOという数値を大きくすると途端に色がおかしいなーと感じることが増えてきます。
フルサイズなら6400でも大丈夫なところがありますが、マイクロフォーサーズなら800程度が限界と感じるので、やはりまだまだ差は大きいのでしょう。

もちろん技術はどんどん進歩していますし、このあたりは少しずつ許容できる範囲は広がってくるとは思います。また先ほど話した手ブレ補正のおかげで、手軽に手持ちで夜景が撮れるという利点もあります。
ただ現状では夜景とか星とか夜の撮影をメインでやっているような人はフルサイズなど大きなセンサーサイズのカメラがいいんでしょう。
‖マイクロフォーサーズはフルサイズより写りが悪いの?
ただ正直昼間に撮ったフルサイズの写真とマイクロフォーサーズの写真を見比べて、どちらがどちらのカメラで撮ったのか見分けられる人はそれほど多くないんじゃないかと思います。特にスマホやIpad、A4サイズの印刷では見ても見分けるのはかなり難しいでしょう。
もちろん巨大な立て看板や、大伸ばしにする場合にはこのあたりの違いに気づくこともあるかも知れません。しかしそうした特別な場合をのぞいて、昼間の撮影がメインで、ブログやWebでの利用が主という僕のような人にとっては、そこまで気にする必要はなさそうです。
マイクロフォーサーズはボケにくい?
プロっぽい写真の代名詞といえばボケた背景っていう人も多いと思いますが、マイクロフォーサーズはセンサーサイズの関係でボケにくいとよく言われます。
実際、構造上の問題もあって同じ距離で同じような条件のレンズで撮った場合、マイクロフォーサーズは少しボケにくい。同じ設定のレンズで撮れば、およそ倍の範囲にピントが会ってきます。
ただ目にピントを合わせれば、鼻がボケてしまうほどボケやすいフルサイズが必ずしもいいかっていうと、そういうわけでもありません。マイクロフォーサーズは確かにボケにくいですが、その分ピントが合わせやすいってことでもあります。
特に旅先の写真なんかでは、家族にはしっかりピントを当てて、なおかつ背景はわかるように撮りたいって人も多いはず。その点ではマイクロフォーサーズのボケにくさってむしろメリットにもなるんですよね。
もちろん、ボケっていうのは自分と撮る対象と背景の距離で決まるので、マイクロフォーサーズでも明るいレンズを使えば背景をぼかした写真は撮るんです。

バッテリーの寿命が短い
これはマイクロフォーサーズに限らずミラーレスに共有することですが、ファインダーなど含め全ての機能が電子的に制御されてる上、ボディがコンパクトなミラーレスカメラはバッテリーが切れやすいです。
僕自身、朝カメラをカバンに入れる時に間違って電源を入れてしまい、いざ撮影しようとしたらバッテリーが1つ無くなっていたなんてこともありました。マイクロフォーサーズのカメラは消費電気量が少ないためか、ソニーのカメラに比べればバッテリーは持ちやすい傾向にはありますが、やはり替えのバッテリーは必要でしょう。
まとめ
実際にマイクロフォーサーズのミラーレスカメラを長く使ってみて、マイクロフォーサーズは軽くてコンパクトで目立たず、多彩な表現ができるという大きなメリットのあるフォーマットだと感じました。
重いカメラはついつい持ち出すのが億劫になってしまいがちだし、警戒もされやすい。自然な表情を撮ろうと思ったら、小さなカメラのメリットは大きいからです。
「いつかはフルサイズ!」。そう思っている人は多いと思いますが、そのメリットを理解して買わないと、家から持ち出さない巨大で高価な置物を買ってしまうこともあり得ます。自分の撮影スタイルによっては、マイクロフォーサーズのような小さなカメラの方が便利な場合もあるんです。
個人的にマイクロフォーサーズは
[aside type=”boader”]マイクロフォーサーズをおすすめする人
- 昼間の撮影がメイン
- 自然な状況の写真が撮りたい
- 身軽に撮影したい
[/aside]
と思うようなタイプにはおすすめです。