ベトナム中部、リゾート都市として有名なダナンの北80キロほどのところに古都「フエ」はあります。
人口は30万人ほど。その一見地味な印象からか、ダナンを訪れた旅行者からもスルーされることもあるフエ。
しかしフエは世界遺跡にも登録された王宮などの歴史的建物群や、独特のフエ料理など、ベトナムの文化と食という魅力がぎゅっと詰まった都市。自分が6ヶ月以上をかけてベトナム全土を見てきた中でも、群を抜いた印象を残してくれた都市の一つです。
となればぜひ他の人にも訪れて欲しい!というわけで今回は
- フエの魅力である歴史と食事
について解説した上で
- 実際に旅行に行く際の注意点やツアーの活用法
- おすすめレストランやアクセス方法
なども合わせてご紹介していきたいと思います。

ベトナムの歴史建物群
フエは19世紀の始めごろから20世紀の半ばにかけて、ベトナムの王朝「グエン朝」の王都。全ベトナムの首都として150年近くに渡って栄えました。

そのためフエの周辺には、当時としては最高の技術を結集した建物が多く残っています。これらはまとめて「歴史建物群」として世界遺跡にも指定されています。
フエ王宮
建物群の中でも一番におすすめしたいのは街の中心部、旧市街に位置する王宮です。
フエの王宮は大元の宗主国であった中国の清王朝の影響と、フランス式の建築様式との融合とも言える独特なベトナム式の建築様式になっているのが特徴的。UNESCOの第6代事務局長アマドゥ・マハタール・ムボウ氏は、フエ王宮を指して「建築上のポエムである」と表したとか。

1キロ四方強と広い敷地面積を誇る王宮の敷地内には伝統的な建築物の他にも

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鯉の泳ぐ池や庭園など、魅力的な施設がたくさん

敷地内の劇場ではベトナム伝統の雅楽であるニャーニャックを聞くことができます。(入場料とは別にチケットが必要)
内部に残るベトナム戦争の破壊のあと
残念ながらフエ王宮は、ベトナム戦争時に戦場ともなった場所。そのためアメリカ軍の空爆などで多くの建物が破壊されました。そのため現在残る建物は多くが修復を施された建物、ただそこはベトナム、昔修復された部分に関してはちょっと荒い仕事で残念な出来になっていることも間違いありません。そのあたりが気になる人もいるかもしれません。
しかし技術は上がってきているのか、近年になって修復された建物や古い施設が残る部分に関しては、修復のクオリティも上がってきているように見えます。
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夜の王宮
もし建物の粗が気になりそうだ、という人は夜のフエ王宮を訪れrてみるのもおすすめ。

城門前や宮殿など敷地内は鮮やかにライトアップされていて

各所にグエン朝時代の歩哨の格好をしたスタッフが配置。
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女性音楽家の人たちによる伝統楽器の演奏なども行われています。
昼間とはまた雰囲気が全く違うので、昼間行った人でももう一度訪れてみる価値は十分にあります。
[aside]入場料について
フエ王宮に入るのは入場チケットが必要です。
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[/col2] [col2]王宮と、隣接する遺物博物館の入場券がセットになった通常の入場券は15万ドン(750円)。後述する皇帝の墓所、カイディン帝廟やミンマン帝廟などのチケットがセットになったコンボチケットは28万ドン(1400円)。
オペラハウスでにニャーニャックや、夜の王宮は別料金となっていて、夜の王宮は15万ドン、ニャーニャックは20万ドンです。[/col2] [/colwrap]
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ベトナムを収めた13人の皇帝の墓所
この王宮に住みベトナムを収めていたのは、13代の皇帝達です。
150年足らずの歴史で13人ですから、皇帝の入れ替わりは相当に激しかったことがうかがえます。
中にはわずか3日皇位についた皇帝もいれば、10年以上に渡って皇帝を務めた人もいます。フエにはそんな皇帝たちが埋葬された帝廟のうち、7つが残っていて一般に公開されています。
フエ王朝2代目皇帝ミンマン帝廟
一番見所が多いのが第2代皇帝のミンマンのミンマン帝廟。

ミンマンは、国の名前を越南(ベトナム)から大南(ダイナム)に変更し、軍隊の強化や、教育制度の改革などを行ってベトナムの力の増強を図った人物です。

その力を誇示するように、他の皇帝たちと比べても圧倒的に敷地が広く
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内部には鯉の泳ぐ池がいくつも作られていて、皇帝の墓所に辿りつくためにいくつも橋を渡る必要があるほど。

皇帝の墓所の扉は普段は硬くt時られていますが、皇帝が亡くなった1月20日だけはその扉が解放されるのだといいます。
フエ王宮12代皇帝カイディン帝廟
また規模こそ小さいながらも、その装飾の美しさで知られるのが12代皇帝であったカイディンのカイディン帝廟です。
彼がベトナムを収めていた20世紀前半は、実権は全てフランスに握られていました。皇帝を務めた10年間の間、実際に進めた政治的な取り組みは皆無なんて言われていて、嫌いな皇帝の名前があげられることがあるのだとか。

フランスを訪れて見たバロック建築に衝撃を受けたというカイディン帝は、自分の墓所もフランス式を取り入れるように指示を出したようで、他の皇帝と同じような伝統的な中国的な像などある一方で
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墓所の建築様式や内装などはフランス式を意識した作りとなっています。


他にも初代皇帝ザーロムの帝廟や

3日間だけ皇帝になったドゥクドゥクの帝廟など、7つの帝廟が残っています。

その他の歴史的施設

フエは仏教が盛んな土地なので、あちこちにお寺もいっぱいあります。ハン川の近くに立つ天女寺院は有名ですし

フランスの占領以降、仏教の街フエにも増えたキリスト教徒のための大聖堂。

ベトナム戦争時に使われていた兵器が残る歴史博物館などもあります。
美食の街フエ
フエ料理の独特さ、多彩さはベトナムの他の地域と比べても群を抜いています。自分がフエに長期滞在すると決めたのも、7割がたは食事のためでした。
これはさきほどあげたミンマン帝のような皇帝たちが、料理人たちに新しい料理を考案するように命じたために、多くのレシピが出来上がったこと、王都であったために人や物が集まったためと言われていて、それが食へのこだわりが強い地域性を作り出したと言えるんでしょう。
味の面でもフエ料理はベトナム一美味しいなどと地元ベトナム人の間で噂されていて、ハノイやホーチミンのフエ料理店は現地の人たちの間でも人気を博しているのだとか。
オススメフエ料理
実際に食べて見ると、他の地域では見られない料理が多く。本当に美味しい料理が多い。しかも中部の地域の物価の安さも手伝って、ハノイやホーチミンで食べる料理より値段も安かったりするのです。
フエ料理には一般向けの料理と宮廷料理とがありますが、正直盛り付けに手を加えただけのなんちゃって宮廷料理も多いので、個人的には一般向け料理をおすすめします。
BANH BEO

こちらはBanh Beo(バンベオ)。餃子の皮のような生地の上に、エビと豚皮をあげたものが乗っている料理です。

このようにスプーンで掬ってだし汁につけて食べます。このだし汁は和食と同様に魚介系でとったものなのか、味は完全に日本人好み。
BANH KHOAI
Banh Khoaiというベトナム風のお好み焼き、英語表記ではベトナムパンケーキなどとも言われています。

お好み焼きの生地を多めの脂であげたような生地で、豚肉、エビ、野菜などを包み、あんかけのようなソースをかけていただきます。地元フエ人もおすすめ。もともとは冬に食べる料理なんだとか。
フエの麺類
麺類に絞っても、とても食べきれないほどの種類があります。
ベトナムの麺類といえばフォー(Pho)という料理は聞いたことあるかもしれませんが、この辺りは細麺のBunという麺がメジャー。Bunもフォーと同じく米粉で作った麺料理です。
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ブンボーは少しピリ辛の牛肉麺。他の地域にもこの料理はありますが、他の地区の料理より辛さが強いのが特徴。
スープの入った物もあれば、右側のバーベキューの乗ったブンのようにソースをかけて食べるものもあります。

他にもベトナムのあんかけ焼きそばであるミ・サオ(Mi xao)。

バンカン(Banh Canh)なんかは米粉である意外は、うどんなんじゃないかと感じるほど。魚介系スープで腰が結構強い。
変わり種の冷たいスープ
ほかにも変わり種の冷たいスープCheもいいぜひ一度試してもらいたいところ。

甘いスープの中に肉団子が入っているのは、最初はショッキングかもしれませんがなれるとクニュクニュした食感が楽しい。
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スイーツ的に食べられるCheなどもあります。デザートにぴったりで10000~20000ドン(50円〜100円)。
菜食料理もあり
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[/col2] [col2]フエには敬虔な仏教徒が多いため、日本でいう精進料理のような菜食料理も非常に多いです。

東南アジアを旅行していると野菜が不足しがちに感じることもあるので、そういった時にぜひ活用したいところ。地元向けの店が多いため、豆腐の一皿盛り定食などはなんと18000ドン(90円)でした。[/col2] [/colwrap]
[aside]オススメレストラン
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[/col2] [col2]Banh Beoや、Banh Khoaiなどを食べるならオススメしたいのが、こちらのHanhレストラン。値段は30000ドン(150円)程度からとローカル向けよりは多少高いが、味は安定しています。
菜食レストランならばLien Hoa Vegetarian Restaurantがオススメ。[/col2] [/colwrap]
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フエは日帰りするか、一泊するか
フエ行きではダナンから催行されている日帰りツアーに参加する方法と、フエに滞在する方法とがあります。
ダナンから出発するツアーは王宮、カイディン帝廟、ミンマン帝廟の観光に宮廷料理や屋形船での音楽鑑賞などがついているのでできることは多いので、選択肢の一つでもあります。しかし
- フエへ移動時間
- フエで夜間に行えるアクティビティの充実
を考えるとフエに最低一泊するのをおすすめしたいところです。
なぜ一泊することを勧めるのか
というのはダナンからフエは80キロ以上離れており、ベトナムの交通事情のために到着までに2〜3時間かかることが珍しくないからです。そのため日帰りツアーの場合だと、現地に滞在できるのが4時間程度しかないということもになるので、かなり忙しくなってしまいます。
夜に見えるものが充実
フエでは観光客向けのアトラクションが催されているので、文化や歴史などに触れたいという人にはもってこいです。
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また夕方からは観光客向けに龍頭船が出て、船上演奏会などもあります。せっかくですからフエ料理を堪能したいという場合にも日帰りでは時間が足りないですね。
王宮、フエ中心街での移動手段
フエは比較的小さい街です。王宮や多くのホテルのある新市街も近いため、フエ内での移動手段として人気が高いのは、自転車を改造した人力車であるシクロです。複数人でのることができるので、王宮やレストランに行く時に使うならこのシクロで十分でしょう。

シクロのドライバーは街中に大量にいますので、歩いているとひっきりなしに声をかけられます。探すのに苦労はしないでしょう。
[aside]シクロの料金について
市街地をあちこち回ってもらうなら5万ドン(250円)〜10万ドン(50円)くらいでお願いすれば十分。ただ移動するだけで利用することも可能で、王宮→新市街で2万ドン(100円)でした [/aside]
自転車を借りて回ることも可能
ただ自分の場合、フエの市街を回る時には、自転車を主に利用していました
こちらはシクロのように楽はできませんが、煩わしい交渉はしなくて良いので楽になります。自転車は1日2万ドンから3万ドン程度で見つけることができます。

帝廟に行きたい場合
ただカイディン、ミンマン帝廟などにも行ってみたいという人の場合は中心街から10キロほど離れていますので、体力に自信があって自転車でも大丈夫という人を除けば、バイクをレンタルして自力で運転していくか、タクシーや、バイタクなどを手配する必要があります。
バイクは1日レンタルで7〜10万ドン程度、自分の好きなように回りたい、時間をかけたいという人なんらばこれが一番楽な方法ではあります。
ベトナムで運転するのが不安に思う人ならタクシーやバイタクを手配する必要がありますが、タクシーは1キロ1万ドン程度はするので、カイディン帝廟まででも片道8万ドン(400円)程度。数箇所回るならば20万ドン(1000円)程度で回ることができます。(入場料は別)
現地催行のツアーを活用する
ただホテルなどで手配してもらえる英語ガイド付きツアーが入場料込みで50万ドン(2500円)程度からあるので、そちらの方が説明を受けられる上に値段はさほど変わらないのでおすすめ。
海外オプショナルツアーのベルトラを見ると、日本語ガイド付きのツアーはダナンからの日帰りツアーの場合は一人2万を超えるようですが、フエから催行されるツアーなら一人8000円程度なので、どうしても言葉に不安があるという人であればこちらを選んだほうが無難かもしれません。
一泊するのがおすすめできtない人
欧米人が多く集まる観光地の例外にもれず、フエにもクラブやバーなどはあります。
しかしフエはダナンに比べて小さい街、やはり飲み屋の数なども少ないです。そのため飲み屋街巡りやクラブ通いなどナイトライフを優先したい人にとっては、ダナンの方が面白いと感じるかも知れません。
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また日程的に中部の滞在が短いという人は、土曜日や日曜日に見ることができるドラゴンブリッジの龍が火を吹くセレモニーをみたいかも知れません。こうした場合は日帰りツアーの参加を検討したほうがいいかも知れません。ダナン発の日帰りツアーの場合は、ベルトラよりもJTBのオプショナルツアーの方が安いようです。
ただ例のごとく英語ツアーなら半額以下になることも多いので、言葉に不安はないという人はそちらを手配すべきです。
フエへのアクセス
フエに一泊するとなると、最初からパックツアーを頼んでいるというのではなければ自力で現地まで行く必要があります。
ダナンからフエへにアクセス
自力でダナンからフエに移動する場合、方法は幾つかあります。最安なのはダナンからローカル鉄道を利用することで、45000ドン(225円)でフエの駅まで到着することができます。
ダナンからフエに行くなら格安鉄道旅がいいよ!電車を使って自力でフエ観光に行く方法
他にも高速バス、リムジンバスなどもあり、これらは値段は高くなりますがホテルまで迎えに来てくれることが多いので総合的にはずっと楽です。
ハノイやホーチミンからのアクセス
ハノイやホーチミンからフエはかなり遠いです。
フエには空港があるため予算が許すなら飛行機で飛んでしまうのが、もっとも手っ取り早いのですが、時間がある人ならば、景色を楽しみながら陸路というのも、アリ。
ハノイからホーチミンの高速バスについてはこの記事にまとめていますのでよかったら参考にしてください。
ベトナムの高速バスは結構いいよ。ホーチミンからハノイ、2000キロの経験を語る
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まとめ
フエは今でこそ小さな地方都市でありながら、かつてはベトナム全体の中心地であり、歴史、食事の両面で魅力がぎゅっと詰まった都市です。
旅に生き、様々な都市で生きてきた自分の生活の中でも、心からまた戻りたいと思える都市はさほど多くありません。
せっかくの海外旅行。行き先に迷うことも多いはず。ダナンにくる人にも日程的にスルーされがちな目的地であるフエ。しかし魅力に溢れ、ダナンやホイアンからも近いフエはぜひ目的地の候補にしてもらいたい土地です。